プロボクサーのパンチの速度は、時速30キロ程度と呼ばれています。
野球で時速150キロなので、遅いと思うかも知れません。
しかし、飛距離がまったく違います。
球技のように放たれてから到達までの飛距離が長いほど、軌道が視認できるので、着弾の位置予測が容易です。
つまり、簡単に対処できるわけです。
しかし、至近距離からだと、いくら時速30キロが遅いとはいえ人は避けられません。
人間の反応速度はおよそ0.2秒程度と呼ばれています。
時速30キロは、秒速およそ8.3m。
腕の長さを60cmとすれば、パンチが放たれてから到達までの時間はおよそ0.072秒になります。
つまり、どんなに動体視力が良くても、認識が出来ないのです。
ちなみに時速100kmの場合は0.02秒ですが、時速30kmと時速100kmの違いに意味はありません。
なので、パンチは予測でしか回避できないです。
つまり、パンチ自体の威力はもちろん大事なのですが、それ以上に格闘技が「見えないパンチ」、つまり「いかに振りをコンパクトにして、相手に気配を気取られずに、相手に正確に当てるか」という競技になるのは、実はこうした理由なのです。
もちろん球技と違って、人間の体重が乗った至近距離の弾丸みたいなものがパンチの本質ですから、遅くても、非常にダメージになるわけです。
西部劇でガンマン同士が決闘で撃ち合ってるようなものですね。
実は、理科や物理の授業で「あるあるネタ」のこの話、聞いたことがある人は意外に多いかも知れませんね。