クリエイター業界では、経営層と現場の意見が噛み合わないことがよくあります。
どういうことで揉めるのかですが、だいたいは利益を出す観点と、良いモノを作る観点とがぶつかります。
- 利益を出す観点で言えば、要らないクリエイターをクビにすれば良い。
⇒しかし、クビにすれば現場が回らなくなって、生産物ができなくなる。
- また、良いものを作ったから売れるわけではない。
⇒しかし、良いものを作らないと、信用されずに次の仕事がなくなる。
こういった感じで、板ばさみ状態が続くのです。
漫画に関する誤解。
縦スクロールの漫画(ウェブトゥーン)は、実はアニメのレイアウト主導の制作法に近く、従来のネーム・コマ割りから作る白黒漫画とは食い合いが悪いです。
鳥山明、大友克洋ならいざ知らず、大半の漫画家はそういった作り方はしていません。
白黒漫画は読み物で、ジャンルとしては小説やコラム記事に近いコンテンツだからです。
業界の感覚がわからない人は、どうしてもウェブトゥーンの「トゥーンが漫画」という訳のため、そういう誤解をしやすいわけです。
鬼滅の刃で100年漫画コンテンツは安泰になった、とまで言えるでしょう。
アニメに関する誤解。
ガイナックスの創設メンバーが、大阪芸大出身者であることは有名です。
今で言う、同人サークルから出てきた会社です。
しかし、DAICONⅣというアニメ以降、やはり修行が必要ということで、庵野秀明はジブリに住み込みに行き、宮崎駿と出会うといったことをしています。
つまり、「天才集団がポッと出てきて、トントン拍子で行ったサクセスストーリー」というわけではないのです(そういうふうにガイナックスの歴史には書かれていますが)。
また、アニメスタジオというのは相互関連が強く、スタッフの貸し借りが頻繁です。
なので、「ガイナックス制作」と銘打っていたとしても、実際にはいろんなスタジオの腕の立つアニメーターが寄り添って作るのです。
オネアミスの翼のスタッフを知らないみたいです。
原画という項目を見れば分かる通りですが、ジブリ作品やAKIRAを作ったスタッフも大勢参加しています。
大体のスタッフは、スタジオ所属の人というわけではなく、フリーの人の協力で成り立っています。
しかし、地方の小さな餃子屋で揉めごとを起こし、3年越しで恨み節を続けるというのは、どうなんでしょうか。
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