かつて戦前の国語教育では、鑑賞と情報リテラシーの2つの能力を問われていました。
戦後になり、国語では情報リテラシーの部分は削除されてしまった(社会科に内容が移管された)のですが、受験などでは問われる場面も多いため、世間で大きく能力差がついています。
情報リテラシーとは、「情報を受け取った場合、どのようにその情報を捉え思考するか」ということです。
◎たとえば、あなたが「70年代には肥満がいなかった」という主張を、そのようなイメージが喚起される写真とともに書かれている記事を見かけたとします。
この情報をどのように捉え、思考するかです。
レベル別に分けると
◼低レベル
70年代は肥満がいなかった
⇒写真でもそう見える
⇒現代では肥満が増えて健康が害されている
⇒昔の食生活が良かった
という偏差値が極めて低い(頭の悪い)考えに突っ走るアホが跋扈します。
実際、国民の大多数は、この程度のレベルの反応でしょう。
情報リテラシーが低い人は、提示された情報の方針にそのまま従ってしまいます。
◎この情報、実際にはどこか「うさんくさい」です。
では、そもそも本当に「70年代に肥満がいなかった」のでしょうか。
江戸時代にもそれ以前にも、肥満の人がはいたのは、「力士」などの存在からすでに知っているはずですね。
ということは、「ウソ」を書いていることになります。
では、「どこがウソ」なのでしょうか。
◎ということで、この記事を少し多角的に捉えます。
例えば、
・70年代は歴史全体から、どのような時代だったか
・現代と比べ、70年代と生活様式の違いはなかったか
・その写真はどういう意図で貼付されたか
などを考えます。
◼中レベル
70年代は肥満がいなかった
⇒では、70年代は本当に栄養が豊かだったか?
⇒納豆や味噌汁だけしか食べられない時代だった
⇒栄養失調が多かったのではないか
というふうに、別の視点からの思考が差し込みます。
こうなると、もう少しで結論にたどり着きます。
◼高レベル
70年代は肥満がいなかった
⇒70年代は栄養は豊かだったか
⇒納豆や味噌汁だけしか食べられない時代だった
⇒経済状態も今よりは乏しく、科学技術の進歩もなかった時代
⇒栄養失調や餓死に近い死に方が多かったのではないか
⇒70年代は健康ではなく、むしろ栄養不良で困っていた人が多かったはずだが、この写真に写ってない(この写真が真実かはさておいても)
⇒この記事は意図的に、「真実ではない情報」を記述している
⇒「陰謀論への扇動」を目的としている
と理解できるわけです。
私のような非常に高いレベルの情報リテラシーを持つ人は、一瞬でこの程度は判断します。
つまり、「陰謀論に引っかかる人は頭が悪い」と結論付けられてしまうのです。
情報リテラシーを磨くには、日頃から知識を有機的に運用する習慣を付けるしかありません。
記事に書いてあるからそうだと思うのでは、踊らされて終わってしまうのです。
しかし、まずはこの判断力を得るには、絶対に語彙力が必要だという話でもあるのです。
情報リテラシーが低い人は、もれなく語彙力が低いので、まずはしっかりと語彙力を鍛えてください。
この程度の情報処理については、別に高度な話でもないので、生活上では最低限のレベルということです。