忍びの日記

絵の思考法から世事評論まで、忍者が斬る!

努力・才能論争の問題点。

そもそも才能不足で勝てない人

・どんなに努力しても大谷翔平には勝てない

・テロや暴動、寝そべり抗議をした方がコスパ良い

の問題は解決しないので、 これらは深刻に考えておくべきです。

「努力したから美しい」みたいな寓話ではなく、現実問題として考えましょう。

 

成功者の傲慢

「こんな自分でも成功した」「だからみんなも諦めずにやってみろよ」は、成功者にとっては「謙虚な姿勢」のつもり。

でも、裏に臭いほどの自負心が渦巻いている。

底辺から自力でのし上がって来た(と思いこんでいる)人ほど、この臭気は強い。

庶民の出身を強調する人ほど、成功者としての傲慢さがより一層引き立つ。

さて、こういう人の言うことを聞きたいだろうか。

 

自分から負け役を買う人はどこにもいない

成功者の勝利を世間に知らしめるためには、かならず負け役を買う人を大量に必要とします。

勝ったことをアピールするには、かならず謗る相手が必要です。

だから、「〇〇というゲームに勝った俺、負けたアイツら」と必死に喧伝します。

しかし、自分から「負け役」を買う人なんてどこにもいないです。

したがって、弱者の最適戦略は「勝ち組の話の理屈に乗らない」となるのです。

「俺は努力したから正しい」「弱者は怠け者」とか大声で騒ぐほど、分断が進行します。

 

事情を知らなくても、情況から察知できる能力

世の中には色んな人が色んな事情を抱えている。 その全てを理解することは出来なくとも、どういう情況か客観的に読み取れる人間にはなる必要があると思うのですよね。

それを可能にするのも、国語力です。

 

能力主義メリトクラシーの虚構

能力は、遺伝や生まれの資本、与えられた環境によって決まります。

真実なのですが、真実を言うと世間にとかく嫌われます。

能力主義というのは、実際には格差を再生産するための詭弁なのですが、勝ち組の人が広告塔になって負け組に押し付けますから、支配層にとってはコスパ良好です。

貧困層は…、今はわかりませんが、将来的には政府の都合の良いように接収されることになるかも知れません。

たとえば、憲法改正されてしまえば、身寄りのない人を集め、死地に赴かせる徴兵制なども実現しやすくなります。

 

自由・平等の虚構

近代社会以降、世界の人々は信仰する神を失いました。

自由平等の社会は、行為の結果と責任を内面化させられます。

これがいわゆる自己責任社会なのですが、自己責任論によって、様々な社会制度に起因する不都合を隠蔽することが出来ます。

成功者が己の自助努力により成り上がったとアピールすることと、失敗したらバカで無能なお前のせいと罵り謗ることは、社会的には同じ意味になるのです。

 

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氏の「神の亡霊」が東大現代文(2020)に出題されました。東大は毎年、国語の試験で社会問題を出題することで有名です。

 

社会は元来からずっと不平等であり、人間は世界像の中で生きる

民主主義も資本主義も、みんなが思い描く正しい社会もすべて虚構です。

だからといって、それらを否定して生きることは出来ません。

この世界の、様々な歴史条件や社会条件からも逃れて生きることは出来ません。

※人文知や社会知の重要性

つまり、確固たる根拠はないものの、人々の歴史や記憶から「何となく信じるもの」があります。

これが世界像です。

 

事実を知り、明日に生かそう

つまり、今後は能力主義を信仰する社会が進行していくのは確実で、それと同時にどうしようも出来ないことがたくさんあるということは知っておくと良いです。

とはいえ、深刻な不平等は有史以来、ちょっとずつ改善はされていっています。

今は昔よりも遥かにマシになっているのであり、そう思えばこの社会も悪くないと思えるでしょう。

つまり、事実を正確に捉えることができないと、問題発見・問題解決のスタートラインにも立てないのです。

 

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