「家族は大事にすべきだ」という話は有名です。
誰にでもわかるし、正論に聞こえやすいからです。
もちろん、否定する気はないですが、あまり頭が良くない人はここで思考を止めてしまいます。
家族主義が加速すると、「愛する人のためなら、相手がどうなっても良い」という思想に陥ります。
たとえば、誰でも身近な人を攻撃された場合、「攻撃してきた人は悪いやつだ」と出来ます。
人は身近な人を大切にして、見えないものはどうなっても良いという生き物ですから、生き物としては当然の選択です。
しかし、あなたを敵としたその人にも、また家族がいます。
その人にもまた身近な人が大事だという視点があります。
なので、家族主義は一見良さそうですが、戦いが止まらないのですね。
すると、どちらがより「正当性のある家族」なのか、死ぬまで戦わないといけなくなります。
家族主義を錦の御旗にして、相手を一方的に攻撃することを正当化してしまうのです。
これの規模が大きくなったのが、地域主義やナショナリズムというわけですね。
ということで、家族主義だけでは世の中は戦争になるだけなので注意してください。
隣の中国は「中華思想」という大きな家族主義を持っていますよね。
ロシアも家族主義というか民族主義的思想があるのでしょうから、核兵器を背景に、ウクライナに恫喝のような戦争を一方的に仕掛けています。
なので、身近な人が大事だというのは誰にとっても当然ですが、だからといって何をしても良いわけではないわけです。
遠くの人にも思いやる力があるからこそ、人間として自立できると言えるでしょう。
「やられたらやり返す」を続けるだけに終始するなら、単なる動物と同じです。
もちろん、時として徹底的に完膚なきまでにやり返すことは、人間も動物である以上どうしても必要なコストです。
私は生き物として強いので、いくらでもやり返してあげます。
ただ、これを続けていても生産性はないと思うんですよね。
人は家族という場を抜けたところに社会があると考えるのが、ごく自然な発想ですが、ちょっと幼稚な大人が増えているみたいです。