調べてから意見を言うこと。
「生成AIによるコストダウン」は、AI企業側、そこと提携した企業の宣伝文句です。
経営層からプロデューサーの層は、「従業員にかかる費用をコストカットすべき」というお題目で、そうした話を流します。
しかし、プロデューサーの仕事とは、面白い企画を引っ提げて、予算を外部から少しでもたくさん引っ張り、それを従業員の賃金に還元することです。
そもそも、多くの人が30年の間に起きた物価スライドを忘れてしまって、あまり指摘していません。
30年前に単価が5000円なら、今の単価は少なくとも3倍から5倍以上になっていなければおかしいわけです。
物価スライドのみで3から5倍、さらに技術的進歩が2から3倍ですから、かけ算すれば10倍以上の値上げをすべきです。
これが「本来の標準価格」※であり、これを支払わない企業は「実質的なダンピング」をしているわけです。
「実質的なダンピング」に目を向かせないまま、うまい具合に生成AI論に誘導して、ごっそり丸儲けしてやろうというのが、企業もとい資本家側の本音であり企みなのです。
インボイスよりよほど悪質なのですが、多くの人が気付いていません。
さて、こういう話に騙され踊らされてしまった哀しい一部のインフルエンサーたち。
残念ながら、もう彼らの信頼が戻ることはないでしょうが、我々がもう一度確認しておきたいのは、「調べてから意見を言う」ことの大切さです。
いま、生成AIによる著作権侵害、さらにそれを利用した著作者の乗っ取り事件や、違法商材の販売が横行しています。
また、海外では生成AIは著作権者から訴訟があり、違法認定されて規制がすでに始まっています。
日本でも、そうした動きに乗っかろうという風潮が去年の後半から出ています。
今回ばかりは、「間違ったことを言っても黙っていれば忘れてもらえる」なんて、そんなムシの良いことではありません。
実際に被害者が続出しています。
※参考までに購買力平価として有名なビッグマックは現在世界では1個1000円です。
なので、原画の単価が5000円から50000円になっても特段驚くべきことではありません。
ごく普通のことです。
企業が値上げ交渉をサボって下に押し付けるのは論外です。
とりあえず「慣れた言い回し」をするのをやめよう
絵を描く時でも同じですが、「ちゃんと調べて」から意見を言うことです。
それをせず、「何でもアリだ」「便利だから使うべき」「手段にこだわらない」「もともとやる気のない絵描きがAIのせいにしている」などと生成AIを擁護する形で、それまではクリエイターに共感の姿勢を見せていたアカウントたちが、一気に旗色を変え権利を平気で踏みにじる姿勢を見せてしまった。
残念ながら、今回の件は多くのクリエイターにとって裏切りという他ならず、これが見事に可視化されたことで不信を買いました。
少なくとも、慣れた言い回しで意見をうまく言おうとするのではなく、意図に合わせて言葉を考えて使うようにしましょう。
多少不器用でも、しっかりとした言葉を使うことから始めましょう。
日常であまり使わない言葉を避けること。
たとえば、「現世では…」とかあまり使わない言葉を使おうとしないでください。
普通、「現世では…」と聞くと、「来世の存在を信じていて、そこに期待してる人なのかな?」「新興宗教?」とか、人は余計な想定をしてしまいます。
国語が不得意である人ほど、なぜかこうした「使うのが難しい言葉」を使いたがります。
造語も混乱の元なので、良くありません。
そうした言葉遣いにこだわるのではなく、内容に忠実に書くべきです。
出来ないなら、少なくともSNSに意見論評を安易に発信したり書き込むべきではありません。
絵を描く時とまったく同じです。
近頃のSNSに言いたいこと
そもそも、最近の大人に多いのですが、言いたいタイミングで無責任に言いたい放題言い、都合が悪くなればあとは黙る…。
テレビ局のお偉い役員か何かのつもりですか?
なぜ、「アニメは映像だから、絵は素材で絵描きなんて関係ない」(生成AIの件の一例として考え得る抗弁)とか、目線逸し、屁理屈…を延々と繰り返すのでしょうか?
その素材がなくなったら、本当に何も出来ないわけですよ。
そういう人たちが今後は信用されることはないですし、ましてSNSに顔出し名前出ししている人たちならば、なお一層訝られることでしょう。
少なくとも、自分で調べて考えて、整理してから意見を言いましょう。
SNSにはすでにもう私とは関係がない人たちもいるので、私から特に物申すようなことはないのですが、全体的に見ていてどうなのかなと思う次第です。