絵を上手くなりたい場合、模写、デッサン、トレス‥といった手段にいちいち拘泥することなくするためにも、基本的な原理を知ることが大切だったりします。
というのも、絵を描く人に多い間違いとして、とかく手段のための練習をしがちです。
そうではなく、上達のための手段としてこれら方法があるだけであり、どんな手段であっても、基本的に目的はすべて共通です。
その目的とは、
Aこの形を
Bこのような線で表現する
ということを徹底して「分けて」理解していくことです。
Aは、大きさ、配置、比率からはじまり、遠近、パースなど空間感覚の理解も含まれます。
Bは、線の構成、線の組み方、線の処理の仕方、線の表現効果、線質による印象など、捉えたAに当てはめるわけです。
Aは絵の意味や内容を作り、 Bは絵の印象や効果を作ります。
はじめのうちは、2つはまったく別の単元と思っておいたほうが良いです。
なので、絵を慣れない段階では、AとBは別々に練習した方が良いでしょう。
混ぜこぜでやると上達の妨げになるので、デッサンならデッサン、模写なら模写、トレスならトレスという形で、ある程度の数を一気にやり抜きます。
ただ、ある程度描きこなして慣れてきたら、好きな練習を元に、なるべくAとBを同時に考えるように訓練します。
お手本の絵の見方が分かるわけですね。
すると、少しずつ練習が楽しく取り組めるようになってきます。
そこの段階に乗るまでには、かなりの勉強が必要です。
これは、以前によく聴いていた某有名美術予備校講師の方の動画の話を参考に理論を組み立てました。
私は本格的に練習し出した頃に、この考え方をよく理解したことで、絵についてなすべきことが明確になりました。
やはり、アカデミックな内容であっても、基礎的な話についてはアニメでも同様に役立ちますね。
絵なんて、上手ければ上手いだけ得しかしないですからね。
絵が上手くてもしょうがないみたいな話がたまにありますが、残念ですが下手な人の僻みというだけです。
上手い人は原理上下手な絵も当然描こうと思えば描けますが(わざわざ描きませんが)、逆は天地がひっくり返っても絶対にあり得ないからです。
当たり前ですが、絵が下手なことによる機会ロスのほうがはるかに深刻です。
ごちゃごちゃ考えずに、シンプルに反復練習を繰り返しましょう。
ちなみに、模写は初級者には難しすぎる割には時間がやたらに無くなるため、個人的にはあまりおすすめしません。
模写は、スポーツで言う「走り込み神話」と似ていて、実は世間で言われているほど効率的な練習ではないです。
多分、模写はあまりしなくても普通に上級者になれます。
絵の方向性の話も多少はありますが、初級者の入り口程度の話であり、実はあまり関係はありません。
上手い人は動きがある絵だろうが止め絵だろうが、なんでも描けます(本当に!)。
絵は、一度最後までちゃんと理解してしまうと、自然とそこから徐々に何でも出来るようになるからです。
総合格闘技に、空手から入るのかレスリングから入るのか柔術から入るのか…程度の差です。
強い選手は、みんなやはりオールラウンダーですよね。
それにしても、非効率な考え方や練習をやたらに推奨する人が多いのが不思議です。